タンパク質というと、普通はすぐに筋肉や内臓や皮フ、血液などを連想しますが、酵素は一定の形を作るのではなく、生物に必要な無数の化学作用をコントロールする働きをします。
生物の化学作用で一番身近なのは食物の消化・吸収でしょう。食物が身体に吸収されるためにはさまざまな酵素が必要です。
消化酵素は生物の種によって大きく違い、「例えばヒトと同じほ乳類でも牛・馬などはセルロース(食物繊維)を分解する酵素を作れますから、人間が食べられない固い木や草を食べてエネルギー源(糖)に変えられます。
食物を消化する他に生物は呼吸し、全身に酸素と栄養を届け、老廃物を分解・排泄し、情報を脳に送り、記憶し、判断し、動き回る…これらの活動は全て化学反応として行われています。
細胞がたった一個の微生物も、数十兆個からなるヒトも全く同じです。
つまり生き物の体の中では何千にも及ぶ異なる化学反応が常に進行していて、その一つ一つの化学反応にはそれぞれ専門の酵素が働いて行われます。ですから細胞はいつでも千をはるかに超える種類の酵素を作り出しています。
酵素は化学反応が素早く確実に行われるのを助けるもの、「触媒」として働きます。